尿漏れの基礎知識と
まずは自分でできること

産後って疲れる。つらい。
ときどき、産後やたらハッピーそうなブログやらインスタやら見るけど、はっきり言ってありゃ嘘だとおもう。だって疲れるもん。疲れってつらい。

夜泣きとか、自分のペースで寝られない疲れ。慣れない疲れ。自分に時間をとれないがゆえに、以前よりも明らかにイケてない感じ(自分調べ)なのがすごく悲しかったり。

そこに追い打ちをかけるようにやってくる「産後の尿漏れ」

これ、けっこうキツい。イケてなくなった上に、おしっこまで漏れるとは。どうなっちゃうの……って本当に不安になる(実体験アリなので実感こもっています)。泣きたくなる。

 
Webで検索しようにも、対策は骨盤底筋体操ばっかり。地道な(地味すぎる)努力以外にどうにかならないのかなー、と思ったり(悩んではいても地道な努力は苦手)。一方で、一発で治る(と謳っている)骨盤矯正サロンはどこがいいのか分からない。そして「わたし尿漏れあって。あなたは?」とはなかなか言えない。わたしは仲のいい友達にすら言えなかった。

本当は何が正しくて何が効くの? 大至急正確な情報を知りたい! ということで「産後の尿漏れだったらここ」と各方面のお医者さんから勧められた四谷メディカルキューブの女性泌尿器科外来ご担当、藤崎章子先生にお話を伺ってきました。
 

画像: 尿漏れの基礎知識と まずは自分でできること

藤崎章子先生
女性泌尿器科医。四谷メディカルキューブ勤務。初診で先生の予約をとろうと思ったら3ヵ月は待たなければ……なので、今回こうやってじっくりお話をうかがえたのはほんとうに貴重です!

 

尿漏れの基本アレコレ

産後の尿漏れは自分だけじゃない、かもしれない。
尿漏れを経験する人は
妊娠中「68%」
産後1ヵ月後「24.5%」
(慈恵大学病院 研究データより・出典1)
 

1.「産後の尿漏れ≒腹圧性尿失禁」
それはどういったものですか?

「くしゃみや咳、飛んだり跳ねたりといった、お腹に力が入ったときに漏れるのが腹圧性尿失禁です。膀胱などの臓器を支える骨盤底筋や、その付近の靭帯のゆるみ、神経の弱まりなどによって起こります。産後の漏れはほぼこちらのタイプと言ってよいかと思います」

 

2.産後、尿漏れが起こるのはなぜでしょうか?

「まず第一段階として、妊娠中、大きくなった子宮が膀胱を押すことで骨盤底筋に負荷がかかります。その状態に加え、経膣分娩の際、骨盤底筋付近の靭帯や筋肉が傷ついたり切れたりすることによって起こると考えられています。また授乳期には女性ホルモンの影響も考えられます」

 

3.出産スタイルの違いによって、尿漏れが起こるかどうかに差はあるのでしょうか?

「あるデータ(出典2)によると、産後の尿漏れに関して、経膣分娩経験者は帝王切開経験者の1.7倍というデータがあります。無痛分娩と普通分娩との比較では、無痛のほうが明らかに多いということはありません(出典3)

吸引分娩や鉗子分娩等は、骨盤底筋や肛門付近の筋肉や神経を傷つけることがあるので、尿漏れが起こるリスクは高いと言えます(出典4)。が、出産時に必要があって行われていることなので、仕方がないことかと思います。
なお、出産中に、お母さんがその後の尿失禁を防ぐためにできることは特にはありません」

 

4.尿漏れが自然におさまる人、というのは産後どれくらいでおさまりますか?
自然におさまる人とその後も続く人との違いはなんですか?

「それらに関して十分なデータは出ていません。分娩様式(普通か帝王切開か、鉗子や吸引分娩かなど)、骨盤底筋体操の実施、授乳や女性ホルモンの影響などさまざまな影響により違いがあります。
なお、靭帯は一度切れたら回復はあまり期待できません。筋肉や神経は損傷の程度にもよりますが、自然回復することもあります。

尿漏れの自然回復のめやすとしては、卒乳し(一般的には1年程度で卒乳するケースが多いと思われます)、月経が再開する頃くらいでしょうか。それを過ぎても尿失禁が続いて困っているようであれば、一度、受診の検討を」

 

産後の尿漏れといえばやたら勧められる
骨盤底筋体操ってやる意味あるの?

骨盤底筋体操とは? 骨盤底筋ってどこ?

(提供元:ユニ・チャーム「尿もれケアナビ」より)

 

5.ずばり、産後の尿漏れに効くのは骨盤底筋体操以外にはないのですか?

「基本的には、家でひとりでできるものとしては、骨盤底筋体操以外はありません。
ただし、正しい方法で行うことがとても重要です。間違ったやり方では意味がありません。

妊娠中に太ってしまったなら、減量も大切です。肥満は尿漏れの一つのリスクになりますから。姿勢も重要。前かがみの姿勢は、骨盤底筋に負荷がかかりやすいので。ただ、姿勢を改善するだけで尿漏れが全快すると謳っているところがありますが、それは言い過ぎです。

また、授乳期に、必要以上に水を飲み過ぎている人もいます。その場合は、飲む量を減らすよう指導することも。それだけで症状が改善することもあります」

 

6.骨盤底筋体操にはどのような効果があるのですか?

「骨盤底筋を太くしたり、収縮を強める効果。さらに、筋肉が収縮すると、神経にも動いたという刺激が伝わるので、神経を活性化させる働きもあると考えられています」

 

7.骨盤底筋の収縮が正しくできているか自分で知る方法はありますか?

「医療機関でも行うことのある方法ですが、お風呂などで膝をたてて座った状態で、指を2本タテに揃えて膣に入れる。その状態で締めてみて、締まるかどうか、中で指を開こうとして反発があるかどうかなどをみます。締めているつもりでも、力が入らなかったら体操のやりかたが間違っているということ」

 

8.病院でも骨盤底筋体操の指導があるところがありますが、体操なのに、病院に行く必要はあるんでしょうか? 病院を受診してできることはなんですか。

「専門の医療機関に限りますが、骨盤底筋体操の直接指導があります。それには陰部の触診(内診や服の上からなど)があるので、医療機関でなければできません。

骨盤底筋体操は公民館などでの集団指導や医療機関以外のジムやヨガ、骨盤矯正サロンなど、さまざまなところで行われていますが、そういうところでは陰部の診察はできないため、正しく骨盤底筋が使えて収縮できているのかの診断ができないのです(骨盤底筋の動きは外からは見えないため、陰部を触って確かめるしか方法がない)。そして実際に、骨盤底筋がきちんと収縮できていない人は本当に多いんです。

もちろんこれらの指導を受けたり、産院で体操のパンフレットをもらって、自身で体操をやるだけで良くなる方もいます。
まずはWebサイトやもらったパンフレットを見ながら、自身で体操をやってみること。もし、自宅から通える病院や公民館などで助産師さん、看護師さん、理学療法士さんといった医療従事者が産後の体操教室などをやっているところがあれば、一回行ってみること。それでダメだったら、専門のところを考えるというのでもいいかもしれません。

腹圧性尿失禁(産後含む)で当院を受診された方で、今まで様々なところで様々な方法を頑張ってこられた方でも、骨盤底筋の収縮が正しく強くできる方は本当に少ないです。まったく違う動きを骨盤底筋の収縮だと思っている人が多いんです(そう習ったとのこと)。

骨盤底筋をわずかに使う体操など、たいしたことないと思うかもしれませんが、尿失禁で悩んでいるならば、遠回りはせずに、しっかりと骨盤底筋を鍛えたほうがいいかと思います」

 

9.骨盤底筋体操は本当に意味がありますか?

「体操指導をきちんと受けることにより尿失禁の改善に効果ありという十分なデータはあり、泌尿器科のガイドラインでも治療の第一選択とされています。あるデータによると、正しい方法でまじめに続けた場合、56%が治癒すると報告されています(出典5)

もちろんそれで全員がよくなるわけではないため(重症の症例で体操により完治することはまれ)、そういった場合は手術の適応となります」

 

10.骨盤底筋体操指導をやっている医療機関はどこですか?

「全国的にそう多くはありませんが、増えてきています。まずは近くの泌尿器科・産婦人科を受診の上、紹介していただくのが近道だと思います。

当院でも骨盤底筋体操の指導は専門でやっていますが、幅広い年代の手術希望の方が多く来院され、なかなか予約がとれないということもあり、お子さんや仕事の都合がある場合、受診が難しいのが現状です。そういった方には、土日も診察・体操指導を行っている専門の医療機関もあります」
 

出典
1)日本女性骨盤底医学会誌.2014;11(1):99-105
2)N Engl J Med.2003;348:900-7.
3)日本女性骨盤底医学会誌.2014;11(1):99-105
4)母性衛生.2014;55(2):479-485.
5)Cochrane Database Syst Rev.2014;14(5):CD005654

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