あなたの考える「家族」って、一体どんなものでしょう。血が繋がっていれば、家族? でも子どものいない夫婦も家族だし、血縁のない連れ子のいる再婚家庭だって家族。

じゃあ法律関係にあるのが、家族? そうなると事実婚はどうなるんだろう? 考えていくと、家族ってよくわからないもの。

子どもとの間に、血縁も、法律の保証する関係も何もない人が、親の立場に立つことだってあるんですから。

LGBTの家族について考えてみると、これまた本当にいろんな家族がいます。レズビアンマザーの家族、ゲイファザーの家族、親がトランスジェンダーの家族、シングルのレズビアン・ゲイの親御さんだっています。

「LGBT家庭にはどんなお宅があるのですか?」とご質問をいただくことがあるのですが、それが実に果てしないご質問だということがわかると思います。もちろんメジャーな形というのはあるにはあるのですが、私は今でも新たなLGBT家族に会うたびに、こんな形もあるんだ! と目からウロコを落としています。

それでも、あえてLGBT家庭に一つ特徴的なことを挙げると、どちらかが子どもと血縁のない親である、という点です。

トランスジェンダーの方が戸籍を変えずにいて、戸籍上異性のパートナーと結婚をして子どもをもつ、などの例外的なケースもあるのですが、ほとんどの家庭にはもれなく「血の繋がらない親」がいます。

異性愛のご家庭の場合は、ステップファミリーでない限り血縁があるのが一般的だと思うのですが、LGBT家庭の場合は、逆なんですね。

そんなLGBT家庭ならではの、あるあるというのがありまして、それは血縁のない親の側がとにかく大変! ということ。婚姻という法律による証明が存在しないLGBTにとって、子どもと血縁がない=法的な関係がない親になる、ということ。

我が家は幸運(?)なことに、それぞれに子どもがいるので、私もパートナーもとりあえず「親」であると社会に認識されていて、この難しさにはぶつかりませんでした。

しかし、こんな風に双方に子どもがいるケースというのは少数派であって、大多数の家庭では「事実上親なのに、社会的に親だと認識されない親」というのが、どうしても発生してしまうわけです。

それがどういうことか、具体的にお話ししましょう。私が関わっている、子育てをするLGBTの会「にじいろかぞく」のメンバーにも、この「あるある」にぶつかったご家族がいます。

産んだ方のお母さんは仕事が大好きな方、産んでいない方のお母さんも大手企業にお勤めのレズビアンカップル。切望していた子どもに恵まれ、二人は大喜び。家庭も仕事も順風満帆、充実した共働き生活に突入……のはずでした。

しかし産んだ方のお母さんが育休を終えて仕事に復帰し、復職後の荒波に揉まれ始めたあたりから雲行きが怪しくなってきました。

異性愛の夫婦なら、お母さんが職場復帰を果たした直後はそれこそお父さんの腕の見せどころ。残業になってしまったお母さんの代わりに保育園のお迎えに……なんていい話になるのですが(ならないお父さん、頑張って!)、同性カップルの場合、カミングアウトをしていて、さらによほど理解のある職場にお勤めでない限り、産んだ方のお母さんに代わって産んでいない方のお母さんが、目の前に山と積まれている残業を放り出して、血縁関係にない子どもをお迎えに行くことは、まだまだ難しいのでした。

実は、他のLGBTカップル家庭でも、産んでいない方の親の育児参加の難しさはかねがね話題になるところです。そもそも、カミングアウトができない場合には、親として周囲に認識されることもないのが現状。

想像してみてください。二人で迎えたはずの子ども、自分もその親であるはずなのに、周囲の人が自分を親だと認めてくれない気持ちを!

親であると認識してもらうには、最悪の状況を覚悟しながらカミングアウトをするほかありません。LGBTに理解がある人ばかりとは限らないなか、一か八かに賭けなければ、親とさえ認めてもらえない現実と向き合うというのは、覚悟をしていたとしてもなかなかハードなものです。

育児は労力も時間も必要な大仕事です。人手は必要なはずで、せっかくやる気のある「もう一人の親」がいるのに、活用されないなんて勿体ない! と思わざるを得ません。

くだんのカップルは実家も遠く、産んだお母さんはキャリアのある方。そうなると産んでいない方のお母さんの積極的な育児参加が必須になる。

職場の上司や人事には一大決心をして相談したけれど、そうは言っても広いフロアの同僚全員にカミングアウトをして理解してもらうのは難しく、度重なる子どもの体調不良の呼び出しに対応しているうちに、職場と家庭の板挟みになり、とうとう鬱を発症してしまいました。

現在はだいぶ元気になったものの、LGBT家庭でなければこんなことにはならなかったかもしれないのに、と思わずにはいられません。

再婚家庭で婚姻関係にあるお父さんであれば、血縁関係のない連れ子のお迎えに行くことにもう少し周囲は理解を示してくれたのではないか。そう思うにつけても、血縁だけの問題じゃないんだなと思います。

世間ではイクメンなんて言葉がもてはやされて、共働きの家事育児の分担が叫ばれて、叫ばれてしまうお父さんは大変だろうなあと思いはするものの、それだけ期待されるお父さんをいいなあと指をくわえて見ている、そんな親もいる。

どんな親もみんな、楽しく子育てしたいですね。だって育児に関われる時間なんて、実は本当に短いのだから。先日とうとう我が家の長男が一人暮らしを始めることになり、空の巣症候群気味な育児終盤間近のハハは思うのです。

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